書籍:胃ろうという選択、しない選択

■2012年12月3日発行

題名:胃ろうという選択、しない選択---「平穏死」から考える胃ろうの功と罪

著者:長尾和宏

発行:株式会社セブン&アイ出版

■種々の病気で、口から食べられなくなったり、嚥下機能が落ちてきた人には、胃に小さな孔を開け、管を通しての栄養摂取方法をお医者さんはすすめます。

 この胃からの経管栄養法が「胃ろう」と呼ばれる人工栄養法です。

■日本は今や世界一の「胃ろう大国」です。なかでもさまざまな終末期における胃ろう患者さんが増えています。

■極論かもしれませんが、私はこの世には「必要な胃ろう」と「必要でない胃ろう」があると考えています。いいかえると、「ハッピーな胃ろう」と「アンハッピーな胃ろう」があるのではないかという考え方を提唱します。

■私は、老衰や認知症末期の「アンハッピーな胃ろう」には懐疑的です。

■障害児や難病患者さんのみならず、胃ろうの助けが必要な病態もあります。脳梗塞など、脳血管障害(脳卒中)の急性期の胃ろうも大切なものです。脳梗塞の急性期は多くの場合、嚥下機能が落ちるからです。

■認知症の経過は、初期、中期、終末期に分けて考えられています。平均的な全経過は約10年といわれています。・・・最終的に脳全体の萎縮が進行し、寝たきりになり摂食嚥下機能が低下した時期が「終末期」と呼ばれています。

■もし、認知症終末期や老衰期に胃ろうを造らなければ、つまり、人工栄養にしなければ自然な最期を迎えます。・・・「平穏死」です。

■(しかし)多くの病院のお医者さんは、「胃ろうをしないなら、死んでしまいます。親を餓死させる気ですか?」と、なかば脅迫的に胃ろうをすすめるところが多いようです。

■食べても食べなくても、人間は誤嚥するものなのです。最近は、たとえ胃ろうをしても誤嚥性肺炎が減るわけではないといわれています。胃ろう栄養剤の逆流があるのです。・・・胃ろうを造り、長期間食べないでいると、口の中の雑菌数は激増します。口腔ケアがきちんと行われずにいると、雑菌をたっぷり含む汚い唾液を誤嚥します。その菌が肺へと入り、炎症をおこすこともあるのです。

■日本の社会保障は延命措置に関しては豊かで懐が深いのです。そのいっぽう、自分自身の延命措置を望まない権利は法的に担保されていません。・・・いわゆる「胃ろう議論」の本質は、いったん胃ろうを造設すると、もはや胃ろうがその患者さんに利益がないとご家族が感じる時期が来ても、現実として中止するのは容易ではないことにある、と思います。

■胃ろう患者の最期

多くの病院では、患者さんの最期の瞬間まで胃ろうで人工栄養を入れ続けます。・・・患者さんの身体は膨れ上がり、水ぶくれになってしまいます。

■人間は齢をとると「省エネモード」に入るので、多くは1200キロカロリー、そして終末期であれば、600キロカロリーくらいでも生きられます。しかし、無理やり1500キロカロリーを最期まで入れ続けるのです。身体というのはとても優秀なので、1500キロカロリーをとれば、そのカロリーで生きるように順応していきます。しかし、そのかわりに喉をごろごろ鳴らしたり、心不全、肺水腫となり、カニのように泡を吹くこともあります。呼吸が苦しくなり、痰がからむので今度は頻回に吸引を要します。そういった患者さんは、見ているこちら側がかわいそうに思うほどとてもくるしみます。

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