■2014年12月22日初版
題名:家族よ、ボケと闘うな!誤診・誤処方だらけの認知症医療
著者:医師・長尾和宏+役人・近藤誠
出版:株式会社ブックマン社
■長尾> 家族の関わり方次第で、認知症の人の運命が大きく変わることを、本書で知っておいて頂ければ、本書の読者自身も将来いつか必ず役に立つでしょう。すなわち、認知症とは本人の問題だけではなく、家族の問題なのです。家族が無用に闘うのです。家族が本人や認知症に勝とうとするのです。家族が負けてあげれば、ほとんどが解決するのに・・・・・。
■近藤> 認知症は病気です。でも、一番の原因が老化であると私は捉えています。
現代社会は、「便利」という名のもとに、本来自分でしなければならないことを放棄してきたのではないでしょうか。・・・それは・・・同時に、人間の「退化」の歴史であるように思えます。
■長尾> 「早期発見は、実は早期不安」。この言葉を近藤さんから突き付けられて、医者として忸怩たる思いです。
認知症医療はまだ始まったばかりの医学分野です。・・・家族だけではなく本人の訴えを聴ける人、本人の目を見て話しができる医者を探してほしい。「治そう」一辺倒でなく、「生活を支えよう」とする医者を。
■近藤> 認知症は、出来事そのものはすぐに忘れますが、感情の記憶だけは残っていることが多い。だから周囲の人の関わりを含め環境を良くしなければ、抗認知症薬の服薬に意味はないと思うのです。・・・服薬のタイミングを少々遅らせてでも、まずは、環境改善を目指すべきではないでしょうか。
■長尾> 誤診だらけの認知症医療-----悲しいけれど、それが現実だと思います。
■近藤> 独居老人600万人という数字と、認知症の増加は切り離せない事態だと考えています。話し相手がいない、面倒くさいコミュニケーションがない・・・私が、現在の生活環境が認知症の大きな要因であると考えている根拠のひとつです。・・・「老いる」とは、「心があきらめること」だと思っています。
■長尾> 大胆な仮説を言えば、つまり認知症とは、左脳人間が右脳人間になることじゃないかと思うのです。
理屈人間から直感人間に。
理論人間から感覚人間に。
理性人間から本能人間に。