家族葬の風「サクラ満開、人生の達人」

◆ 2年前に都内の区の公民館が主催する講演会で葬儀について講演をした。その時に参加されていた区民の方から電話があった。
     Q:    母が亡くなりました。葬儀をお願いしたくて、お電話しました。
    亡くなられたのは、90歳を超える実母だった。病院から、ご自宅までお母様を運び、安置した。4人姉妹がそろっていた。

◆ 亡くなられたお母様は、生前にお寺が経営する永代供養のついた合葬墓式のお墓を購入されていた。その時に戒名も付けられていたようだ。ただ娘さん達は、そこの僧侶が気に入らず、こちらに紹介してほしいという。しかし、菩提寺であれば、戒名も授与されているのだから、そのお寺に頼むのが筋ではないかと説明する。喪主のご主人も、そうだという。しかし娘さんは、そんな心配はないという。そのお寺とは菩提寺としての関係を持っていない、お墓を買っただけの関係だという。
 もし、そうであるなら、ずいぶんとビジネスライクなお寺さんだ。こちらは紹介できるが、後々問題がないように契約書を確認し、他のお坊さんでも大丈夫か問い合わせてはどうかと話す。
 そして、お布施もかかるので、最終判断はお布施の納得できる方にしてはどうかと提案する。
 
◆納棺式/翌日、ご自宅で納棺式をおこなった。お孫さんや曾孫までそろっていた。総勢24名位いた。全員に旅支度を手伝ってもらう。納棺式が終わった後、30才代のお孫さんから「子供たちにも分かりやすい納棺式でした。子供たちが参加できて良かったです」と言われた。

◆葬儀/結局葬儀には、こちらが紹介したお坊さんがかけつけた。通夜の開式のまえに、曾孫さんたちが、2~3人でじゃれ合っていた。
        お坊さま:    小さなお子さんが騒いでも、気にされないでください。曾孫さん達の元気な姿を見て、おばあちゃんは喜んでいるはずですよ。こうやって親族の皆さんが集まって、温かくおばあちゃんを弔ってあげることは素晴らしいことですからね。
    場を和らげる言葉があり、これで緊張がとけ、葬儀に集中できる。開式とともに、全員で般若心経を読経した。

◆ 読経の後にお坊さんから説法があった。
        お坊さま:    亡くなられたおばあちゃんは人生の達人ですね。桜が綺麗です。斎場の横も回りも桜の花で満開です。お子さんもお孫さんも曾孫さんも、全員集められて、お花見葬儀ですね。こんなに温かくて、美しい人生の去り際を演出できるのは、めったにいない。私もこういう去り方をしたい。去り際をかくも美しくできるは、人生の達人です。
    上手いことを言うものだ。

◆ 火葬のあとの精進落としは、まさに「お花見葬儀」だった。式場の二階から、満開の桜をながめながら、食事がはじまった。雲一つない青空に桜が映える。

◆ 全てが終わり、式場を出た親戚の人々が、なかなか帰ろうとしない。桜をバックに撮影会が始まった。
 喪主の娘さんが寄ってきて、深々と挨拶された。
        Q:    今回はありがとうございました。お坊さんの言葉で救われました。あまりの悲しみで、あれもしてやれなかった、これもしてやれなかったと後悔で胸が苦しかったのですが、お坊さんの話を聞いて、心の重石が取れたようです。親戚の皆さんも、いいお坊さんだと誉めてくださいました。ありがとうございました。

◆ 撮影会は、まだ続いていた。その中におばあちゃんがニコニコしながら、入っているような気がした。


きょうの「ブレイクタイム」

令和3年1月3日(日)

首相、皇位継承「男系が最優先」 ラジオ番組で、コロナ対応陳謝

 

《続きを読む》

新宿区が夜の街コロナ対策で会議

<家族葬ネットの思い>

家族葬ネットの愛甲顧問のインタビュー動画です。家族葬の表裏をわかりやすく解説しています。

<家族葬ネットの新着情報>

<家族葬ネットをシェア>


このエントリーをはてなブックマークに追加