家族葬の風「おくり名 富岳昇竜写人」

◆    平成二〇年八月、東京都在住のあるカメラマン(大正生まれ)が永眠されました。

◆ 色とりどりの生花に囲まれた柩の回りに故人の作品が展示され、柩の上には贈り名「富岳昇龍写人」の位牌が飾られました。
 通夜はご家族だけで過ごされ、翌日の告別式には近しい人たちが集まり、ビオラとアコーディオンの生演奏がたむけられました。

◆ 故人は戦後にカメラマンとして報道関係に勤務され、マッカーサー夫人のポートレートをはじめ、国内外の著名人や女優などの写真を手がけられました。その後、有名ブランドの商業写真などを数多く撮られました。

◆ 奥様によると、被写体の中でも富士山がお気に入りだったそうです。それで「富岳」。そして五〇才代に患った重い癌の病魔から奇跡的に生還されたのですが、その故人の守り神が龍だったので「昇龍」と命名されたそうです。

◆ それぞれの言葉の意味合いは違ったのですが、並べてみますと贈り名「富岳昇龍写人」はその意図を超えて「富士山に昇る龍を写し取る人」と読み取れます。しかも、その光景が鮮やかに目に浮かびます。
 神秘に満ちた架空の生き物「龍神」を追いかける少年のような魂が大空を駆けめぐっているかのようです。私はちょっとゾクッとしました。あまりにも鮮明にその姿が私の脳裏をよぎったからです。言葉はときどき不思議な力を発揮します。故人は、この贈り名によって神聖で純粋な魂に還っていったかのようです。

◆ 実は名前と魂は深い関係があります。岩井宏實氏(国立歴史民俗博物館名誉教授)は、この世に生を受けたとき付けられる名前は「肉体につけられたものではなく、魂に付けられたものであった」と日本人の伝統的な思考を紹介しています。

◆    誕生名が、両親が赤子の生涯の安泰を祈ってその魂に付けた名前ならば、「贈り名」は、家族が故人の生涯を讃えて、その魂に感謝の気持ちを伝える名前となるでしょう。それは、敬慕の想いを込めて、肉体から離れた魂を再び神聖な世界へと送り返す鎮魂の祈りのように。

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