家族葬の風「おばあちゃんの遺影」

◆ 疲れ切った声で電話がかかってきた。

        Mさん:    身内は私と主人の二名だけで、質素な葬儀をお願いしたいんですが。

    豪雨をもたらした梅雨前線は、いまだ梅雨明けを許さない。曇り空の中、病院に急いだ。
 
◆ 亡くなられたのは、喪主のMさんのおばあさまだった。Mさんはおばあさまのご長男の一人娘にあたる。闘病生活も長く、医療費もかさんだことだろう。葬儀費用の前に医療費が飛んでいくのが当たり前になっている。
 
◆ おばあさまはプロテスタントの教会の信者だった。葬儀の打ち合わせには牧師さんも同席された。
 葬儀の場所、段取り、費用について細かく打ち合わせをした。牧師さんがMさんの立場にたって助言をしてくださった。

◆ 牧師さんがMさんに「他の葬儀社と比べても安いと思うよ」といった。ホッとするMさん。問題は斎場だ。本来なら教会で葬儀をあげるところだが、Mさんのご自宅は教会から離れていた。晩年身体を患ったおばあさまをMさんが引き取って面倒を見ていた。そのころから教会へはあまり顔を出さなくなったようだが、深い信仰があったことをMさんは知っていた。

◆ 斎場は、Mさんのご自宅の近くの斎場にした。10~20席ぐらいのこぢんまりした式場だ。牧師さんにとっては、教会での葬儀ではないので何かと勝手が違うだろう。
 「必要なものがあれば、ご指示ください」と牧師さんに尋ねると「私たちの葬儀はシンプルですから、大丈夫ですよ」と優しい笑顔が返ってきた。

◆ 身内はMさんとMさんのご主人の二人だけなので、通夜式はしないで、そのかわりに納棺式をMさんご夫妻と牧師さんとでおこなうことにした。

◆ 三人が賛美歌を歌う中、静かに納棺をした。一般的な棺の上にキリスト教(プロテスタント)用の棺掛けをかけた。黒のビロードの生地に白い十字架が縫い込まれている。ご主人がいった「これって良いですね。私も家内も信者じゃないけど、この雰囲気はいいでね」と。
 この棺掛けは、私たちの手作りの物だ。牧師さんも満足そうだった。

◆ おばあさまは大変苦労されたようだ。晩年は色々な事情でMさんが引き取ることになったが、Mさんも看病の連続で辛かったことだろう。

        Mさん:    肉体的にも精神的にも私に迷惑をかけるようなことは無かったですね。いいおばあちゃんでした。

◆ おばあさまはご自分の死期を悟っていたのか、気に入ったスナップ写真を遺影用にと、写真屋さんでサービス版に加工してもらっていた。残念ながら荒い加工でみすぼらしかったのでスナップ写真から作り直した。
 ご遺影を見たご主人が、

         ご主人:    この写真いいね。飾っておきたいね。

          Mさん:    おばあちゃん気に入っていたんだよね。自分で遺影を準備するなんて、、

    思わず涙ぐむMさん。ご主人もMさんも、おばあさまのことが大好きだったことが良くわかる。 

◆ 告別式/教会の方も含め20数名になった。棺の前にはきれいな花が飾られ、その後にはたくさんの花で飾られたご遺影。そして、十字架が置かれた。

 説教のとき、牧師さんはMさんに話しかけるようにおばあさまのお話をされた。その間、Mさんは涙ぐんでいた。喪主あいさつのときも、ご主人につきそわれ、涙声で用意していた文章を読み上げるのが精一杯だった。

◆ 葬儀も終わり、火葬、収骨も終わって火葬場で別れるとき「お世話になりました。無事に終えることができました」とMさん。その胸には、おばあさまの遺影がしっかりとかかえられていた。遺影のおばあさまは微笑んでいるように思えた。

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