家族葬の風「密葬・般若心経で送る2」

◆ 団地のご自宅で葬儀をしたいという。病院でお父様が亡くなられ、団地の管理組合から某葬儀社を紹介され、病院からご自宅までは、その葬儀社にご遺体を運んでもらったそうだ。
 その葬儀社から、葬儀の見積もりをもらったが、家族葬ネットの見積もりと比べたいという。しっかりしたお嬢様の声が電話から聞こえた。
 
◆ お父様は闘病生活も長く、治療費もかさみ、余裕のある葬儀はできないという。奥さまは、悲しみに項垂れていた。二人の綺麗な娘さんが事情を説明してくれた。
 
◆ 某葬儀社には、狭くてご自宅では葬儀ができない。エレベータもなく、この階段では棺が出せない、葬儀社の会館を使うしかないといわれたそうだ。
 確かにエレベータはなく、三階なので棺の出し入れは大変だが、出来ないと云うスペースではない。このようなケースは何度も経験しているが、まだ条件のいい方だ。もっと階段が狭く、しかも5階から棺を出したこともある。

◆ お墓は田舎にあり、菩提寺もそこにあるので、密葬にして田舎でお経をあげてもらうという。祭壇も葬儀も必要なく、家族でゆっくりと付き添い、送り出したいという。この団地には、引っ越してきたばかりなので、会葬者も親戚だけのようだ。それなら、ご自宅でも充分ですよといった。

◆ Q: 葬儀に最低限必要なものは、なんですか?

A:    余裕があればお金をかけてもいいし、見栄を張らなければ、質素な葬儀も心がこもっていれば充分なんですよ。一番大切なのは、残ったご家族の心の整理です。

◆ 火葬費用までいれて総額25万円の見積もりを伝えると、「それでお願いします。実は前の葬儀屋さんには三倍近い見積もりを出されたんです」と娘さんが見積もり書を見せてくれた。

◆ それでも、お母さまは不満そうな素振りだった。よくよく話を聞いてみると「お坊さんも呼ばないで葬儀をしていいものだろうか」と悩んでおられた。親戚の手前のこともあったのかもしれない。娘さん達が云った「お母さん、その話は済んだ話でしょ。お父さんは、生前から無宗教で質素にと云っていたでしょ」と。
 父と母と子供達のそれぞれの想いは、一致しない場合も多い。それぞれがそれぞれの事を思いやっていても、立場の違いから結論が違ってくる場合がある。

◆ ある程度の結論が出て、ご自宅を後にしたその夜に、お母さま(奥さま)からの電話が鳴った。

        お母様:    やっぱり、お坊さんを紹介してほしい。

    そして、翌朝早くに娘さんからの電話が鳴った。

        Q:    すみません。母が取り乱して、お坊さんの件はキャンセルにしてください。

◆ 出棺/親戚の方々が集まっていた。合掌して納棺式を始める。皆さんで旅支度をしてもらう。それぞれ順番に清浄綿で顔や手足を清め、生前のご苦労を癒す。足袋をお履かせし、脚絆、手っ甲と全員で紐を結び整える。奥さまに数珠を手に掛けてもらう。最後に全員で経帷子を整えてもらう。

◆ 般若心経/ 納棺を終えた後に故人を囲み、全員で般若心経を読経する。
 たまたま、故人の枕元に般若心経を写経したものが供えられていた。奥さまは時々唱えられていたようだ。奥さまには、「お坊さんはいないけれど、般若心経をみなさんで唱えてもらえれば、りっぱな供養になりますよ」と伝えた。娘さん達も快く了承した。
 奥さまは、目をつぶり、しっかりと唱和されていた。

◆ 前日、奥さまに「ご主人の耳元で、お疲れまでしたと色々お話しをしてあげてはどうですか。それも大切な供養ですよ」と云って別れたが、今朝、「昨日ずっとお話ししてあげてたんですが、なんだか気持ちがすっきりしました」と云われる。

◆ 娘さん達が用意したたくさんのお花を、棺の中へと、全員で飾る。故人の穏やかな顔が印象的だった。奥さまもすっきりした落ち着いた表情をしていた。少しは、心の整理がついたのだろうか。

◆ 火葬の待ち時間に親戚の方が云った「どんな葬儀になるかと心配だったが、良い葬儀でした」と。
 別れ際に「また、色々と相談にのっていただけますか」と娘さん達が云った。


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