家族葬の風「正月に急死」

◆ 正月の二日、電話の声は弱々しかった。

        Q:    主人が亡くなりました。いま警察にいます。葬儀までお願いできますでしょうか。

◆ 早速、棺を持って警察へ向かった。警察の安置室と聞くと、自殺か事故死を連想する。昨年も正月早々、自殺の仕事から始まった。裸のご遺体を納棺するのは痛ましい。しかし、今回は脳疾患による急死だった。

◆ 警察までの道のりは、静かだった。街並みは門松など正月の装いが家々を飾っていた。警察署では、正月気分に関係なく、警官達が慌ただしくうごめいていた。ロビーのテレビから流れる箱根駅伝の映像だけが正月の雰囲気を呈していた。
 検死官が各警察署を回って、この警察署に着いた。検死後、二階の控室でご遺族に検死の説明を行った。部屋から出てきた奥さまはご両親に支えられて階段を降りてきた。若くて綺麗な奥さまだった。

◆ Q:    元旦に友人のお宅でお酒を飲んでいたら、急に倒れたんです。あまりにも突然のことで、今でも信じられません。

    ショックを隠しきれない様子の奥さま。
 このような心の整理がつかないままの別れ方は、ショックと悲しみが後まで続く。1年、2年は寂しさで眠れない夜も続くだろう。

◆ ご遺体を霊安室に運び、ゆっくりと時を過ごしてもらった。翌日、畳の部屋でご遺族の見守る中、丁寧に湯灌を行う。ご主人の顔は、ただ眠っているかのように正気を取り戻していた。一番好きだったスーツに袖を通して、綺麗に身繕いした。
 最後に奥さまがネクタイを巻いてあげると、そのまま被さるように泣き崩れた。

◆ お二人は結婚して、さほど時間が経っていない。一番の想い出の写真は結婚式の二人の写真だ。ご遺影もその時の写真を使うことになった。

        Q:    結婚式の写真が葬式の写真になるなんて、おかしいですよね。葬式の写真に相応しくないでしょうか。
    と心配そうだ。

        A:    いいんですよ。幸せそうなお顔じゃないですか。
   と励ます。

 どうして、二人を結びつけた神様は、突然二人を裂いたのだろう。その幸せに嫉妬したのかも知れない。

◆ 葬儀には、ご主人と奥さまのご友人が大勢駆けつけられた。皆が皆、「どうして、こんなことになったの」とくり返す。「でも、こんなに綺麗で安らかに眠っているでしょ」と逆に奥さまが、ご友人達を励ます。
 和服姿の奥さまを取り囲むようにご友人が大勢集まられたことにちょっと安堵した。

◆ 葬儀も終わり、ご自宅にお花や線香を届けた。奥様は疲れたご様子だった。
 澄み切った青空に白いご自宅が目立つ。語りかける相手がいない寂しさを乗り越えてほしいと願って、ご自宅を後にした。


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