家族葬の風「ラストメイク」

◆ ちょっと変わった職業に従事する若者たちを紹介しよう。

◆ 89才で亡くなられたおばあちゃま。一週間前までは、ご自宅で療養されていたが、食事も喉を通らなくなり、最後は病院で息を引き取られた。二人娘のご家族だけで葬儀を行うことになった。

◆ おばあちゃまは大正生まれ、関東大震災も第二次世界大戦もくぐり抜け、二人の娘を育ててこられた。得意の裁縫で子供たちの服を仕立ててきた。化粧をする余裕もない人生を子供たちのために生き抜いてきた。
 
◆ 「余裕があればおばあちゃんにラストメイクをされてはどうですか」と勧めた。

◆ ラストメイクなどをしてくれる業者さんがある。「納棺師」とも呼んでいる。その業者のメインのサービスは「湯灌」だ。「湯灌」は、簡易設備のお風呂で故人を洗い清め、シャンプー、洗顔、髭剃り、爪切り、化粧をしてくれる。最後は、きれいな白無垢の和服に着せ替え、旅支度、納棺までしてくれる。むろん出張サービスなので、ご自宅でも大丈夫。

◆ 「湯灌」までの予算が取れない場合は、ラストメイクを勧めている。闘病生活が長いと頬もこけ、お肌も生気を失っている。痛々しい素顔を見るのはつらいものがる。そんなときにラストメイクは、生前の面影をとりもどしてくれる。
 湯灌もラストメイクもそうだが、基本的な処置以外はご家族の前でおこなう。とはいっても湯灌の場合は素肌は見せないようにバスタオルをおかけして行う。

◆ ご家族の集まる中、ラストメイクがはじまった。スタッフは、若い男女だ。20代後半から30代全般の若者たちだ。女性が化粧をする。丁寧に産毛をそり、下地のクリームをぬる。ご家族のご要望を聞きながら、化粧をする。眉毛を整え、口紅をぬる。髪の毛を洗浄パウダーであらい、きれいに整える。
 気品のある顔立ちが戻ってくる。頬の薄い紅が、顔の明るさを取り戻してくれる。

◆ 一通りのメイクが終わると、ご家族のみなさんに清浄綿で手足を清めてもらう。そして、説明にしたがって旅支度をしていただく。最後に故人を棺に移し、棺の中をきれいに整える。
 メイクの最中に娘さん達が何度も目頭を押さえていた。

◆ 翌日の葬儀の前に娘さんが袋を持ってきていった。「昨日、妹の家族とも話し合ったんですが、ラストメイクには感動しました。母は、おそらく生まれて初めての化粧だったかもしれません。本当は私たちがしてやらくてはいけなかったんでしょうが、でも、あの若い人たちが丁寧に化粧してくださって感謝しています。若い人たちなのに頭が下がります。どうか、あの二人に少ないですけど心付けを渡して上げてください」と一万円づつ渡された。心付けといっしょに手紙もいただいた。丁寧な感謝状がそえられていた。

◆ 葬儀のあと、心付けとお手紙を若い二人に渡してくださいと現金書留で業者さんに送った。二日後に若い社長から電話があった。「わざわざ、心遣いありがとうございます。スタッフも喜んでおります。喪主さまのお手紙にも元気付けられました」。

◆ 実は、喪主さんから心付けがない場合は、気持ちばかりだが私たちの方で心付けを渡している。それほど「湯灌」や「ラストメイク」の若者たちには頭が下がる。自分の親や家族、親族にでも身体に触れることをいやがる若者がいる中で、見ず知らずのご遺体を丁寧に洗い清め、メイクしてくれる。時には、口から血が止まらなかったり、床ずれで膿にまみれていたり、死臭を我慢しなければならない事もある。
 仕事だといえば、それまでだが、色々な仕事がある中でこの仕事は別格だろう。だからこそ、この若い人たちには頭が下がる。ありがとうの思いはお金で表現できるわけではないだろうが、せめて旨いものを食べて欲しい、好きな服を買って欲しい、良い生活をしてほしい、ちょっと足りないけどと思いつつ、心付けを渡すようにしている。

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