家族葬の風「お花一杯の部屋で」

◆ 関西の息子さんから、資料請求と問い合わせの連絡があった。

        Q:    葬儀の場所は、関東のはずれになるんです。家族葬ネットさんのサービスエリア外になりますが、何とか対応してもらえませんか。特別料金を請求してもらって構いませんから。

 地図を見た。海の近くだった。高速に乗れば車で2時間ぐらいだろう。

        A:    かしこまりました。ご依頼であれば、全力で承ります。特別料金はいりませんから。

◆ そんなやり取りがあってから一ヶ月過ぎた頃、息子さんから夜明けに電話があった。

        Q:    今、母が亡くなりました。病院にいます。どうすればいいでしょう。

        A:    ご愁傷さまです。今から伺います。寝台車は先に到着すると思いますが、わたしも駆けつけますので、ご安心下さい。
 
◆ 高速は空いていた。1時間30分で病院に着いた。お父さま(ご主人)と息子さんが待っていた。お母さまは、癌だった。ホスピスで息を引き取られた。息子さんの車を先頭にご自宅までご遺体を運んだ。
 
◆ 自宅には、息子さんの奥さまと子供たち。関西から昨日来られたそうだ。名刺交換をした。息子さんは、裁判所に勤務されていた。お父さまは、有名私大の教授だった。亡くなられたお母さまも地域では有名な教育者だった。優秀なご家族だ。チョット緊張しながら葬儀の打ち合わせをした。

◆ 息子さんは言った

        Q:    家中を花いっぱいにして、母を送り出したいんです。

  ご主人は頷いた。

        Q:    それとホームページに書かれてあったように、通夜の料理は、パーティ形式の料理でワインを用意して欲しいんです。私が、フランス大使館に勤務していたころ、母とワインを飲んだ思い出があります。母は、アイスワインが好きでしたから、それも用意して欲しいんです。ドイツ産がなければカナダ産のものでも結構です。

◆ 葬儀は、家族、親族など近しい人たちで行うことになった。式は、無宗教式でバイオリンとフルートの生演奏をバックに音楽葬で行うことにした。

◆ 翌朝、銀座のワイン専門店の開店を待っていた。開店と同時になじみの店主に事情を説明した。「予算は◯万円。アイスワインを含めて9本」。ワインアドバイザーの店主が「かしこまりました。フランスワインの事をよくご存じの方でも納得されるワインも取り混ぜて、ご用意しましょう。だだし、ドイツのアイスワインは、予算オーバーですから、カナダ産のものにしますよ」。店主が手際よくワインを選んでくれた。

◆ 花で包まれた棺を取り囲むように部屋中に花が飾られた。そして、お母さまと息子さん、お母さまとご主人、お母さまとお孫さんの思い出の写真が引き伸ばされ、部屋中に飾られた。にこりと微笑まれたお母さまのご遺影は、部屋の上座に胡蝶蘭で囲まれた。

◆ クラシックの生演奏で通夜式がはじまった。会葬者は40名ぐらいだった。ご年輩の方も多く、献花はなじまないようなのでお焼香でお祈りを捧げた。

◆ 息子さんとご主人は、棺のなかのお母さまを愛おしく、ずっと見つめられていた。ご主人の目から涙が止まらない。息子さんの顔はくしゃくしゃになっていた。バイオリンとフルートの音色が二人を包んでいた。

◆ 翌日、告別式、荼毘も無事おわり、ご自宅で精進落としをいただいた。息子さんがいった。

        Q:    思い通りの葬儀出来て、ありがとうございました。やっぱり頼んで良かった。それから、ワインには驚きました。実は、あまり期待してなかったんです。予算も少なかったし。葬儀屋さんにワインは似合わないでしょ。それが、レストランで飲んだら3~4万円のワインがあったり、フランスの名門のワインがあったり、ワイン通じゃなければ出来ない品揃えでびっくりしました。
   
 お褒めの言葉をいただき、感動してもらって嬉しかった。これもワインアドバイザーのおかげです。

◆ その翌日、後かたづけと集金に伺った。寂しそうにご主人がお茶を飲んでいた。息子さんも明日には関西に戻られる。ご主人は学会の仕事に追われる毎日なので、ある程度は紛らわすことはできるだろうが、独り住まいの寂しさは、これから身にしみて感じてくることになるのだろう。

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