家族葬の風「聖歌につつまれて」

◆ 数ヶ月前、某カトリック教会から電話があった。信者のご主人が癌に冒され余命幾ばくもないという。前もって葬儀の相談をしたいという内容だった。
 
◆ 後日、奥様とお父さま、それに教会の葬儀委員3名の方とお会いした。葬儀の内容と見積もりを出して了解を得た。神父さまともお会いした。「葬儀屋はちゃんとした所を選ばないと大変なことになるからね。こちらが素人だと思うと幾らでも料金をのせてくる」とプレッシャーを掛けられた。神父様の母親の葬儀でいやな思いをされたそうだ。それで新しい葬儀社を探しておられて、知人の紹介で弊社を指名されたそうだ。
 
◆ 今月になって奥様から電話があった「先ほど主人が亡くなりました。よろしくおねがいします」

◆ 教会の祭壇のまえに花に包まれた棺がおかれた。その上に白い花で出来た十字架。遺影も花で包まれた。
 司祭が入堂され、水を祝福しご遺体に注ぎかける。
 「亡くなった兄弟に永遠の平安が与えられるよう祈りましょう。命の源である神よ、あなたは豊かな実りをもたらすために水によって大地を潤し、同じ水によって人の渇きをいやししてくださいます。また、洗礼の泉によって新しいいのちがわき出るように定めてくださいました。今この水の聖なる霊を注ぎ、祝福してください」
 「神よ、御子キリストの恵みによって神の子となったわたしたちの兄弟を心にとめてください。あなたの愛によって、この兄弟が永遠の平安のうちに憩うものとなりますように。わたしたちの主イエス・キリストによって」「アーメン(一同)」

◆ 参列者一同のお祈りの後、聖歌に包まれて献花がはじまった。

◆ ご主人は現役の刑事だった。いい男だった。若い頃、奥さんは友人に紹介されてご主人と会ったのがなりそめだ。一目惚れだった。奥さんは、ご主人に料理もお花も琴も得意だといったそうだ。ご主人のお姉さんがいった「結婚して琴も花も見たことがないと弟はいっていた」と。お姉さんも奥さんも笑っていた。かわいらしい上品な奥様だったが、若い頃は大胆だったのだろう。息子さんはご主人にそっくりだ。またお姉さんがいった「弟(ご主人)の方がもっといい男だった」と。

◆ 翌日、葬儀ミサの前にご家族が棺の中をのぞき込んでいた。蓋をあけて、もっと近くで見てあげるようにすすめる。すると娘さんがいった「ねえ、お父さんなんだか、笑っていない?昨日はすましていたのに今日は笑っているよ」。お姉さんもいった「あら、ほんとうだわ。この子、笑っているわ」、息子さんもいった「確かに笑っている」、奥さんも微笑んだ。
 「きっと皆さんに温かく看取られたので安心したんですよ」といった。「こんなことってあるんですか」と奥様が尋ねてこられた。答えに詰まった。

◆ 実は一般的にはあまりないそうなのだが、最近同じような現象を見ることがある。もともと色黒の人が白っぽい顔色になるのはドライアイスのせいだと思うが、逆に白い肌の人の頬があたかも化粧したかのようにほのかにピンク色に変わっていた例もあった。なかには唇の紅が強すぎると文句を言われたことがあったが、そのときは化粧も口紅もしていなかった。どの例も通夜の翌日に変化していた。

◆ 科学万能の時代にこんな話しをするのは気が引けるが、私たちの身体は無数の生命の集合体であるという考えもある。物の本によると最近の生物学では、酸素吸収の役割を担うミトコンドリアは別の生命体で、細胞そのものが別の生命と合体することで核を形成している。それ(細胞)が十兆も集まったのが私たちの身体だそうだ。また、血液循環も心臓だけが担っているのではなく、全身の毛細血管こそが血を循環させている主役で、心臓はその一部としてのみ機能しているそうだ。
 つまり、細胞や毛細血管そして心臓はじめ臓器、脳、骨、皮膚、さらにさまざまな体内バクテリアなど全体が結び合って(ネットワーク化)して、人は生きている。心臓が止まったからといって、すぐにネットワークの細部までも完全に止まるわけではない。それが証拠に死後何日かは、爪も髪も伸びつづけている。

◆ 心臓は止まっても、顔の周辺の筋肉や筋、皮膚は何らかの作用で変化し、笑顔になったりすることはあるかもしれない。それは、偶然なのか、それぞれの細胞に刻まれたDNAの情報によるものなのか、それとも他の意思なのかわからない。

◆ 葬儀ミサを終え、聖歌のなかを棺が運ばれる。

◆ 後日、ミサの日に神父さまのところへ葬儀の写真集と葬家に請求した内容を持って訪れた。「君のところ、評判いいよ。葬儀委員の人たちも評価していたね。料金も明確で丁寧だね。また頼むよ」と言われた。合格のようだ。

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