家族葬の風「人生利欲にあらず」

◆ そういう時季なのだろう。いろいろな形の葬儀が重なった。

◆ 多摩地区の同じ老人病院から、今月2回目の仕事の依頼があった。しっかりとした顔立ちのおじいちゃまは、密葬だけの葬儀を遺言されていた。
 
◆ 亡くなったおじいちゃまをご自宅へ移送し、高齢の奥さまと娘さん2人と密葬についての打ち合わせをした。娘さんが色々なホームページをご覧になって弊社を選択されたそうだ。娘さん達は同居してないので葬儀代金を前もって払いますといわれ、密葬基本セットに火葬料金と霊柩車の実費をいただいた。
 静かにベットに横たわっているおじいちゃまの枕元に枕飾りを備え、線香をあげてもらった。

◆ 部屋にはたくさんの本があった。歴史や考古学の本が並んでいた。おばあちゃまが静かに口を開いた「この人は変わり者で大学まで出たのに出世なんかには興味が無くて、勉強ばかりしていました。考古学が好きで給料は本代に消えました」。部屋が狭くなるのでかなりの本は処分したそうだが、興味をそそられる本が並んでいた。なかでも縄文時代の美術写真集は秀逸だった。「そうか、日本の有名デザイナーは、この縄文土器の文様を参考にしてデザインしているな」と思いめぐらすほど食い入ってしまった。

◆ おばあちゃまが言った「考古学が好きなんですか、良かったら持っていってください」。「こんなに鮮やかに縄文土器が写し出されている写真集は初めてなものですから、見ほれてしまいました。これは貴重なものですから、大切にしてください。まだ思い出がいっぱい詰まっているでしょ。本当にいらなくなったら買いに来ますから」と応えた。「古代照葉樹林の研究」という本にも興味がわいた。どれも読みたい本ばかりだ。考古学、歴史のスクラップブックもきちんと整理されていた。ここは宝の宝庫だと思った。

◆ 他人の死に直面するたびに人生とは何かと考えさせられる。一切の見栄を張らず、式もせず、宗教にも頼らず、ただ妻の胸に抱かれこの世を去る人生。世間体にとらわれず、自分の主義・主張で生き抜いた人生。人生利欲にあらず。それはおじいちゃまの学問のなせる技だろうか。
 
◆ おじいちゃまの枕元に鮮やかな洋花のコンポートを一対飾った。良いものを見せていただいてありがとう。天国で思う存分、古代人の研究に勤しんでくださいとお祈りした。

◆ 翌日、落合の火葬場で荼毘に付された。おばあちゃまと娘さんたち、そのご家族が付き添われた。柩にはお花と書籍が添えられた。火葬炉の前で元気そうに見えたおばあちゃまが突然倒れ掛けた。スタッフ2人がささえ、椅子に座らせた。長い看病と眠れない日が続いて消耗していたのだろう。先に逝ったおじいちゃまは幸せに旅立ったが、一人残されたおばあちゃまはこれからどうなるのだろう。
 おばあちゃまに言った「おばあちゃん、これから一年間は寂しい想いをするからね。何か心配事があったらいつでも電話してくださいね」。おばあちゃまは頷いていた。

◆ 遺骨になったおじいちゃまとご遺影をご自宅に飾った。新しいお花をお飾りした。疲れていることだろうと和菓子を買ってきて、おばあちゃまたちに抹茶を点てて差し上げた。
 
◆ 帰り際に娘さん達が言った「こんな安い料金でここまでしていただけるとは思っていませんでした。感謝しております」。密葬だから出来ることもある。


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