家族葬の風「通夜は最期の晩餐」

◆ ご主人が亡くなられた。電話は娘さんからだった。

     Q:  家族5~6人だけで葬儀をしたいのですが、基本セットでなるべく費用をかけないでお願いします。
  
◆ 深夜に連絡があって、病院にかけつけた。霊安室に奥さまと娘さん2人がいらっしゃった。

     Q:    自宅は狭いので、式場が決まるまでどこか遺体を安置できますか?

  近くの安置所にご遺体を移送することにした。寝台車が来るまで一応の打ち合わせをした。
 ご家族だけなら、ゆっくりできる式場が5万円で借りられるので、そこで式をあげることにした。

◆ 通夜/こぢんまりとはしているが落ち着ける式場で通夜をおこなった。
 式は、故人の希望で無宗教でおこなうことになった。柩のまわりに色とりどりの花を飾った。御遺影はイーゼルにのせ、色花でアレンジした。そして、柩の前には、たくさんの洋ロウソクがやさしい灯火をはなっていた。娘さん達が、持ってきたものだ。
 式場には、お父さんの好きだったクラシックが流れていた。

◆ 通夜は、故人と家族の私的な別れの儀式だ。戦後、高度成長にともなって、葬儀は大型化した。葬儀の後の告別式には故人もあまり知らない「関係者」が大勢訪れるようになった。そして葬儀と告別式は一体化し、さらには、告別式は日中に行われるので、仕事を休まなくていい通夜式に一般の会葬者が訪れるようになった。
 通夜は告別式化した。私的な別れの儀式が社会的な儀式に様変わりした。通夜は家族の気持ちを思いかばうよりもあまり知らない「関係者」に気遣い、故人やご家族の事をあまり知らないからこそ、祭壇の大きさや料理の豪華さが葬儀の善し悪しの基準になってきた。

◆ 通夜は、故人と家族との最後の晩餐だ。しかし最後の食卓に故人の姿はない。故人は横たわり、想い出だけが食卓の前に座っている。故人と家族との別れを晩餐を通して確認する。別れの現実をゆっくりと確認していく。家族の寂しさを親族が温かく包み、励ましてやる。そんな通夜をわたしたちはお手伝いしたい。

◆ 祭壇のまえにテーブルを置いた。娘さん達が、皿やコップを並べている。料理は、お父さんの好きだった近所の中華料理屋さんから料理を買ってこられた。家族そろって良くその中華屋さんに食事に行ったそうだ。
 色々な料理が並んだ。ビールとジュース、それにお父さんの好きだったウイスキーの瓶がお父さんの席に置かれた。

◆ わたしたちはそこで退散する予定だったが、あまりにも料理が美味しそうだったので、つい「美味しそうですね」と云ってしまった。奥さまが云った「いっしょに食べていってよ」。なんども遠慮したが、ビールまでご馳走になった。美味しかった。

◆ 奥さまとご主人は学生結婚で駆け落ち同然で結ばれたそうだ。ご主人は本当にご家族を大切にしていたようだ。娘さん達の明るさがそれを物語っていた。温かいご家族だった。

◆ 葬儀は、そのご家族、ご親族の関係をよく反映する。葬儀は形式ではない、大小ではない、心なんだと痛感させられたご家族だった。


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