家族葬の風「フランスパンとチーズとワイン」

◆ 半年前に相談があり、2ヶ月前に打ち合わせをしていたMさんから、朝早くに電話があった。
 病院にかけつけ、ご遺体をご自宅に運んだ。亡くなられたのはお母さまだった。
 お父様は、葬儀のすべてを息子のMさんにまかせていた。お母さまを大好きだったMさんは、お母さまの友達に囲まれた和やかな葬儀を希望しておられた。
 お母さまの好きだった音楽を流しながら、時間の許す限り、お母さまの思い出を語り合う通夜、葬儀を望んでおられた。

◆ ご自宅にもどられ、枕飾りを準備し、線香をあげていただいた後、Mさんとお父様とご兄姉3人で葬儀の打ち合わせをした。デザイナーのMさんは、ご遺影を自分で作りたいといった。ご遺影はMさんにお願いした。式場で流す音楽は、Mさんの奥さんが選曲し、当日の音響担当もお願いすることになった。実を云うとこの奥さんは、後で知ったことだが、世界的に有名な音楽家の娘さんだった。
 儀式は無宗教を希望された。会葬者は何人になるか、はっきりしないが100名ぐらいではないかと云われた。お母さまにはご友人が大勢いらっしゃったようで、ゆっくりと過ごせるような通夜を望まれた。

◆ 一通りの要望を聞いた上で、次のような提案をした。

1)通夜式を1時間とし、親族、お母さまのご兄姉、ご友人から弔辞をいただき、Mさんからは、会葬者のみなさんへのお礼の挨拶と闘病生活の経過を説明してもらう。その後に会葬者には献花をしてもらう。

2)祭壇の配置は、花祭壇の両側に供花を並べ、通常ではその祭壇に平行して柩を置くが、今回は、柩をその祭壇から少し離して、平行ではなく縦に置き、会葬者のみなさんは縦に置かれた柩の左から柩をぐるっと回って、お母さまのお顔が見られるように配置する。そして、柩の回りの台に献花をしてもらう。

3)式場(公営)は最大で100席、そのうち30席は親族席になる。おそらく会葬者は150名ぐらいになるだろうから、献花をしていただいた後は、2階の通夜料理の席へ移動してもらう。

4)全員の献花が終わった後は、式場の椅子を片付け、テーブルを用意し、そこにオードブルとサンドイッチ、それにフランスパンとチーズを用意し、飲み物はワインを揃える。
 この段取りは、いくつかの利点を生んだが、なによりも形式的な葬儀をアットホームな葬儀に変えた。

5)翌日の告別式も弔辞をたまわり、献花のあと祭壇の花を会葬者のみなさんの手で柩の中に飾る。
 
◆ 通夜/200名をこえる会葬者の方々が訪れた。用意していた200本のカーネーションでは、足りなかった。祭壇の花を抜いた。しかし、式そのものは、段取り通りにスムーズに運んだ。
 全員が献花をすまされ、2階に移られた後、1階の式場内の椅子を片付け、テーブルを用意した。汗だくだった。
 テーブルには花が飾られ、ワインクーラーとワイングラスが並べられた。オードブルとサンドイッチ、そしてフランスパンとチーズが用意された。ワインは、銀座の専門店からフランス、イタリア、南アフリカ産の無添加ワインを取り寄せた。

◆ 20分ぐらいしたら、2階から会葬者の方々が降りてこられた。2階席は、70~80名が限度で料理も追加したが、それでも足りなかった。会葬者のみなさんを式場にお呼びした。ソムリエナイフでコルクを抜き、ワインをお注ぎする。
 ご年輩のご婦人が云った「ワインいただいてもよろしんですか」。「もちろんです。赤にしますか、白にしますか」。「赤ワインをお願いします」
 若い男女数名が、ワインクーラーのワインを注ぎ、サンドイッチを頬張った。数分もするとテーブルのまわりには、60~70名の人たちであふれた。フランスパンとチーズを追加する。
 ほとんどの人が式場に戻ってきた。ワイングラスを片手にご家族の方とお母さまの思い出話を交わされている。柩のまわりには、ご友人が集まっている。

◆ 2階でお清めの食事を振る舞い、1階では軽食とワイン、ちょっと贅沢な通夜振る舞いだ。しかも、亡くなられたお母さまを囲んで。お母さまをゆっくり偲ぶには、ワインは最適だったかも知れない。ワインのある雰囲気が良かったのだろう。そして、ワインにはフランスパンとチーズが似合う。しかも、フランスパンとチーズは、量の調整が効きやすい。経済的で見栄えもいい。
 ただし、フランスパンは美味しいパン屋さんを前もって選んでおく必要がある。
  
◆ 通夜式は、午後6時から7時でちょうど一時間で終わったが、多くのみなさんがその後、9時近くまで残られ、ゆっくりとした時間を過ごされた。
 年輩の老紳士が寄ってこられ、「私もこの十数年間、いろいろな葬儀に参列したが、こんなやり方があるんだね。いままでで一番いい葬儀だったよ」と云われた。
 おそらく、ご年輩の方々は最初は驚いたのではないだろうか、でも故人とゆっくり過ごし、思い出話で故人を偲ぶこの方法に1時間もすれば、「こんなやり方があってもいいじゃないか」と思われたのではないだろうか。ご家族のお母さまに対する思いが直に伝わってくるような葬儀になってホッとした。

◆ 注意:どこの式場でも、この方法がとれるわけではない。今回は、公営式場で全館使用が出来たので可能だったが、大手民間式場では無理だろう。運が良かったかも知れない。

◆ お礼:葬儀の後、出棺。斎場から火葬場の代々幡斎場まで45分を見ていたのだが、道路が空いていて30分で着いてしまった。15分も前に着いてしまったが、代々幡斎場では快く受けて下さった。ありがとうございます。

きょうの「ブレイクタイム」

平成29年7月22日(土)

大友克洋さん「バベルの塔」大胆解釈 ざっくり切り込み

 ブリューゲルの「バベルの塔」と大友さんの「バベルの塔」楽しみですね。それにしても、人間の傲慢さを神が戒め、罰を与えた象徴とされる「バベルの塔」、それをいつの時代にも魅かれるのは、罪人としての自虐愛か、マゾヒストの側面を持つ人間のサガなのでしょうかね?。

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バベルの塔

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家族葬ネットの愛甲代表のインタビュー動画です。家族葬の表裏をわかりやすく解説しています。

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◎2017年1月27日 「リンク集」のページを開始。

◉2016年4月8日 「死と終末期の延命治療」のページに「参考資料」欄を設け、「寝たきり老人がいない欧米、日本とどこが違うのか」の記事を追加。

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◉家族葬に似合う「ワイン葬」をアップしました。4月1日

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