家族葬の風「香典を辞退する」

以前問い合わせのあったFさんから電話があった。午前8時だった。

F:「女房が今朝、亡くなりました。○○病院です。」
N:「ご愁傷さまです。準備をすませて直ちに伺います」

 故人はまだ若かった。乳ガンだった。残された娘たちが泣きすがっていた。長女はすでに成人していたのが幸いだった。しっかりしていた。
 式場はかねてから打ち合わせの通りにご自宅ですることになった。6畳間に祭壇を設け、8畳間に座布団をしいて式場とした。

◆戒名/宗派は臨済宗。戒名は「大姉」を希望された。男性の「居士」に当たる。

◆香典/葬儀は、家族、親族だけの家族葬に決まった。会葬者の方は、親族と一般の方を加えても20数名と喪主様は予想された。
 一般会葬者からの香典を辞退することにした。そのかわり「通夜振る舞い(お清め)」などの料理はふるまわない。会葬お礼に会葬返礼品(800円のお茶)をその場で渡すことにした。
 家族葬では、香典を辞退することはめずらしくない。お清めの煩わしさはないし、香典返しで悩むことはない。葬儀に集中できる。しかも会葬礼状と会葬返礼品はその場で渡すので、会葬者に対しても失礼はない。
 
◆返礼品/通夜の始まる前に喪主様が町内会の会長に「家族葬で執り行うので香典等は辞退します」と伝えた。担当の葬儀社が会葬返礼品を50個用意したほうがいいと喪主さんに言ったが、「引っ越してきたばかりだから、近所づきあいもないから20個でもあまりますよ」といった。
 しかし、通夜当日、近所の会葬者は35名を超えた。余分に用意していたので良かった。
 ご主人の知らないところで、奥さまはちゃんと近所つき合いをしているものだ。

◆納棺式/納棺の説明をする「・・・旅支度の作法に逆事と申しまして衣装を左前にお着せしたり、足袋を左右反対におはかせしたりします。これは古来日本ではあの世とこの世は正反対の世界であるという考えから由来しています。この世で足袋を反対におはかせしても、あの世に行かれますとちゃんと元通りなっていますのでご安心下さい・・・」。
 納棺式は、遺族がご遺体にふれる最後の時だ。厳粛な儀式だ。ご遺族の手で旅支度をととのえる。娘さんたちがすすり泣きをしながら足袋をはかせる、「おかあさん、ありがとう」。親戚の皆がもらい泣きする。

◆通夜/自治会の方で香典は辞退することを知らせてもらったが、数人は香典を持ってきた。「生前にお世話になったから」「わたしは特別だから」などなど理由を言われる。女性スタッフは「お気持ちだけいただくように喪主様から固く言われておりますので、大変申し訳ございませんが今回はご辞退させていただきます」と応えた。

◆祭壇/6畳のリビングに彩花祭壇を飾った。オプションで棺を囲むように色とりどりの花を飾った。窓のすきまから入ってきた蜂が、花のまわりを踊っている。

◆お清め/通夜の後、棺を前にして家族と親族だけでお清めをした。寿司と天ぷらと煮物を必要な数だけチョイスした。翌日親戚の人が言っていた「日頃交流のない親戚同士の同窓会みたいだった」。男性たちは午前1時まで飲んでいたようだ。文字道理「通夜」だ。故人も懐かしがっていたに違いない。

◆葬儀/僧侶のお経も熱がこもっていた。近所の方もまたみえられた。一通りご焼香が終わり、出棺の準備をする。祭壇の花を全部抜いて家族、親族のみなさん渡し棺の中を飾る。
 娘たちがいった「おかさんが好きだった花がいっぱいあるよ」「きれいね、きれいね」。棺の中はあふれんばかりの花畑になった。ご遺体は色とりどりの花で輝いて見えた。

◆出棺/棺は庭を通って玄関に出た。前日、生い茂った草木をスタッフが刈り取り道を作っていた。

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