”ピンピンコロリ”で「地獄」行き!?

コロリ地蔵の写真
ウィキペディアより

 全国には、ポックリ寺やポックリ地蔵、ピンピンコロリ地蔵などが点在しています。ポックリ願望は、古代よりあったそうで最期はポックリと死にたいという願望です。最近では、健康志向が一段と高まり、病気に苦しむことなく、元気に長生きし、病まずにコロリと死のうという意味の標語で「ピンピンコロリ」が流行っているそうです。

 おそらく多くの人が「ピンピンコロリ」を願っているのでしょうが、なかなかそううまく問屋がおろしてくれるでしょうか。

 ガンではポックリとはいきませんので、ガンの次に死因で多い心疾患の急性心筋梗塞でウッときてご自宅で倒れたとします。独り住まいなら、願い通り、そのままポックリ逝けそうです。しかし、ご家族のいるご自宅や路上では、どうなるでしょう?

 人生も最終章、日ごろから「ピンピンコロリ」を願っていたあなたは、いよいよお迎えがきたかと達観していると、「どうしたの大丈夫!救急車を呼んで!」と家族の叫び声が耳元でふるえます。それまで健康だっただけに家族は大あわてです。ほどなくして救急車のけたたましいサイレンが近づき、あなたはタンカーに移されます。

 

地獄への道は、善意で舗装されている

救急車の写真

 救急車を呼ぶということは「救急救命のために蘇生措置をし、もし成功したら延命治療もお願いします!」という意思表示になることが多いそうです。

 さて、あなたは救急救命士の迅速な判断で、あっという間にある病院の救急治療室に運ばれます。止まっている心臓にマッサージがおこなわれます。若い先生が両手で力強く胸の真ん中あたりをグイグイと押してきます。肋骨が折れます<ボキ!>AEDで電気ショック治療、<ドック〜ン!>

 あなたは、死にぎわの陶酔状態「エンディング・ハイ」から、呼びもどされます。

 手術室に運ばれたあなたの心臓には、血管に細い管を入れられて、詰まっている血を薬で溶かし、呼吸ができなくなったあなたの肺には、気管に管が入れられて人口呼吸器につながれます。

看護士の写真

 もしかすると(多くは?)、後遺症がのこるかもしれません。例えば<半身不随と顔面麻痺>。言葉がうまくしゃべれません。食事もうまくできません。

 家族たちは「命だけは、なんとか助けてください」と先生にお願いします。

 あなたはあらがうこともできず、栄養補給のために鼻からチューブがいれられ、宇宙食のような液体が少しずつ流されます。あなたは、あまりの不快感にチューブを抜こうとします。すると「だめでしょ、あなたのためだから」と若いナースさんにさとされ、あなたの手は縛り上げられます<グイグイ>

地獄の死者

   長くなりそうなのでと医師は、患者負担の少ない胃瘻(いろう/胃腔に向かってお腹に開けられた孔とそこに設置された管)による栄養補給を勧めます。また水分補給のために、手や足の静脈から点滴注射もおこなわれています。しかし、年を取ると、血管がもろくなっているので、すぐに漏れます。何度も注射針が刺し直されます<チクリ、チクリ!>。あなたは「やめてくれ〜ッ!」とさけぼうとしますが、声になりません。

 こんな地獄のような状態が何年続くやら・・・・。しかし、お医者さんも看護師さんも、ご家族もどなたも、あなたの命を助けることがあなたのためだと信じて、善意でおこなったことなのです。

 ときとして、地獄への道は、善意で舗装されているのです。

 

死にぎわの逝き方(生き方)

 「自分の葬儀は、自分で決める」ことが最近の流行のようですが、死んだ後の話の前に死ぬ前の「死にぎわの逝き方(生き方)」を決めることのほうが遥かに大切です。自分は元気だからとピンピンコロリを夢見ていても、そのためには準備が必要なのです。高度に発達した日本の医療では、数々の延命治療が施されて、思いどおりにポックリと死なせてくれないのです。準備がなければ、あなたの「死にぎわ」には地獄が待っているかもしれないのです。

 では、どんな準備が必要か。実例を紹介しましょう。

自分の最期は、自分で始末する

自分の最期は、自分で始末する

 かつて葬儀をした93才のおばあちゃんは、まさに「自分の最期は、自分で始末する」ことを絵に描いたような人でした。

 納棺の日にお子様たちに「最期は老人ホームでしたが、介護などで大変でしたか」と聞くと「いえ、しっかりした母で、介護も必要なく、みんなに迷惑をかけたくないからと4年前にホームに入ったんですが、(自宅の部屋の)荷物も全部自分で整理して、延命治療もしないようにと宣言書も作っていたんですよ。

 終末期の対応についてもホームの担当医と相談していたようですね。10日前ぐらいに担当医から『具合いが悪くなって救急車を呼べば、病院では延命治療が始まります。こちらに任せていただければ、ホームで延命治療をせず痛みもなく対応しますが、どうされますか』と聞かれたので担当医にお任せしました。最期は、本当にすーっと穏やかに息を引き取りました」と喪主様が答えてくれました。

 なによりも、おばあちゃんの手足がとても奇麗で、点滴など針の痕は一つもありませんでした。そして穏やかで上品なお顔をみると、エンディング・ハイで心地よく逝かれたのだとわかりました。

 

 まさに大往生です。人生の達人ですね。このおばあちゃん、生前にいろいろな勉強会などに参加されて、リビングウイル(Living will/尊厳死を希望する旨を表明した宣言書)も作っておられました。そんな準備をされていたので、ご家族も担当医もホームも、おばあちゃんの意思をちゃんと受け止めることができたんですね。

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