香典袋の表書きは、古い解説書によると宗教に関係なく使えるのは「御霊前」とかかれています。しかし、霊を認めない浄土真宗では「御霊前」ではなく「御仏前」が正解です。
余談ですが、浄土真宗に限らず、本来、仏教は「霊」の存在を認めていません。釈尊がお弟子さんに何度も「死後の世界はあるのか」と問われ「分かりもしないことを考えるのはやめなさい」といい、初期経典には、「後有(死後の存在)を受けず」といい切っていると書かれています(「誤解された仏教」著者:秋月龍民)。
仏式で宗派に関係なく使えるのは、「御香典」「御香奠」「ご香料」となります。
四十九日を過ぎた後の香典は、「御仏前」が、いいでしょう。
神道では、「御榊料」「御神饌料」「御神前」「御玉串料」となります。
キリスト教は、「お花料」「御ミサ料」などが使われます。
無宗教の葬儀には、「お花料」がいいでしょう。
表書きの下には、ご自分の名前をフルネームで書きます。中袋には、お名前とご住所・電話番号と金額を書きましょう。
連名の場合、各人の額が3,000円以下のときは、返礼品の心配をご遺族にさせないよう個人名を書かない心づかいをして欲しいものです。
その場合、香典の書き方は、特別にきまりはありませんが、「有志一同」「友人一同」「○○課一同」が一般的です。
むかし香典は、親族や村落の相互扶助として、貧しい中、米や野菜などを持ち寄ったのが始まりのようです。江戸時代には、香典をいただいたら、香典返しの品物を送るのではなく、香典帳に住所、名前、金額を記載し、その方のご家庭に不幸があった場合に昔いただいた香典の金額とおなじ金額の香典を届けていたのが香典返しの意味だったようです。
ここには生活の苦しい者同志の助け合いの精神がありました。
現代では、香典をいただいたら、四十九日法要の後に香典返しの返礼品を贈るようになりましたが、どうも助け合いよりも負担の掛け合いのようです。
そろそろ、香典の返礼品を受け取る習慣を止めるようにしませんか。すくなくとも、近しい人たちでおこなう家族葬では、返礼品を辞退しませんか。
葬儀社がこんなこと云うのも何ですが、長い闘病生活・介護で預金も底をついて、それでも葬儀だけは小さくてもちゃんと上げてやりたいと無理して葬儀するご家族も少なくありません。
1万円の香典をいただいたても、通夜の料理、精進落とし、飲物を出して、その上に会葬返礼品、香典返礼品を用意したら、ときにはマイナスになってしまいます。つまり、ご遺族のためにもならないのです。
どうでしょうか、香典袋の後に「生死の定めはお互いさま、香典の返礼品は不要です。本当にお気を使われませんように」と書き添えてみてはいかがでしょうか。