仏式の通夜の場合、仏事の解説書によるとその手順は、
最近は仕事の関係で告別式には出席しないで通夜に弔問する人がふえています。また、通夜自体も「半通夜」といって夜6~7時ころから1~2時間程度で終わることが多くなっています。しかし、本来、通夜は遺族やごく親しい人たちが故人をしのんで、夜通し遺体につきそうものでした。(仏事・仏教の基礎知識/講談社)
宗派によって通夜の儀式も違います。
●真言宗など密教系は、大日如来(だいにちにょらい)か十三仏(じゅうさんぶつ)の本尊をかけて、枕づとめ(通夜の間中、灯明と線香をたやさいないよう番をします)をおこないます。
●浄土宗系は、本尊の阿弥陀仏(あみだぶつ)か「南無阿弥陀仏(なむあみだぶつ)」の名号を飾って枕づとめをします。
●禅宗系は、導師が遺体の髪や髭に剃刀(かみそり)を当てる「剃髪(ていはつ)」の儀式をします。これは出家(しゅっけ)して仏界にはいることを意味するようです。
●日蓮宗では末期(まつご)の水をとる間、全員で「南無妙法蓮華経(なむみょうほうれんげきょう)」の題目をとなえます。(仏教早わかり百科/主婦と生活社)
地方では、まだ、さまざまなスタイルがあるようです。いずれにしても、家族、親戚、知人が集まって、夜をてっして死者の霊を守り、なぐさめるのが通夜です。
●言葉の由来は「夜通し」の意味からきているようです。「通夜は、もとは社寺にこもって神仏の祈願をすることからでた言葉で、夜伽(よとぎ/夜寝ないで付き添うこと)、伴夜(ばんや/夜をともにする)ともいい、主に近親者によって営まれるものです(仏事・仏教の基礎知識/講談社)」。最近の傾向は、故人や遺族のためより、弔問客の都合に合わせた通夜が一般的になりました。
●通夜の行為は、仏式に限らず、どの民族もおこなっているようです。夜通しおこなうのは、むかしは現代と違って、死の確認が非常にむずかしかったので死の確認作業のためにとにかく時間をかける必要もあったからだったようです。(お葬式をどうするか/PHP新書)
また、古今東西、各民族は通夜は歌ったり、踊ったり派手にやっていたようです。死や霊にたいする恐怖感からくるものでしょうか。通夜ぶるまいは、そのなごりでしょうか。