「儒教とはなにか」(加地伸行・中央公論)によれば、わたしたちが、仏式とおもっている今の葬儀の流れのなかには、さまざまな宗教や風習に由来するものがあります。たとえば、
◆「死後、通夜までは自宅に遺体を安置する」は、儒教の風習にちなんだもの。
◆「出棺のとき、家族・親族が柩を運び出す」は、儒教の風習にちなんだもの。
◆「荼毘に付す(火葬)」は、仏教。
◆「お骨を大事にする」は、儒教。
◆「お清めの塩」は、神道。
正月は神道、葬式は仏教、クリスマスはキリスト教の日本ですから、この多様さは多神教の国ならではの特徴かもしれません。儀式の完成度に縛られるより、故人に対するそれぞれの思いを大切にしたいものです。