家族葬:おくり名「富岳昇龍写人」

 平成20年8月、東京都在住のあるカメラマン(大正生まれ)が永眠されました。

 色とりどりの生花に囲まれた柩のまわりに故人の作品が展示されました。そして、柩の上にはおくり名「富岳昇龍写人」の位牌が飾られました。

 通夜はご家族だけですごされ、翌日の告別式には近しいひとたちが集まり、ビオラとアコーディオンの生演奏がたむけられました。

 故人は戦後にカメラマンとして報道関係に勤務され、マッカーサー夫人のポートレートをはじめ、国内外の著名人や女優などの写真を手がけられました。その後、有名ブランドの商業写真などを数多く撮られました。

 奥様によると、被写体のなかでも富士山がお気にいりだったそうです。それで「富岳」。そして50才代に患った重い癌の病魔から奇跡的に生還されたのですが、その故人の守り神が龍だったので「昇龍」と命名されたそうです。

 それぞれの言葉の意味合いはちがったのですが、並べてみますとおくり名「富岳昇龍写人」はその意図をこえて「富士山に昇る龍を写し取る人」と読み取れます。しかも、その光景が鮮やかに目に浮かびます。

 神秘に満ちた架空の生きもの「龍神」をおいかける少年のような魂が大空をかけめぐっているかのようです。

 私はちょっとゾクッとしました。あまりにも鮮明にその姿が私の脳裏をよぎったからです。言葉はときどき不思議な力を発揮します。故人は、このおくり名によって神聖で純粋な魂に還っていったかのようです。

 名前と魂は深い関係があります。岩井宏實氏(国立歴史民俗博物館名誉教授)は、この世に生を受けたときつけられる名前は「肉体につけられたものではなく、魂に付けられたものであった」と日本人の伝統的な思考を紹介しています。

 誕生名は、両親が赤子の生涯の安泰を祈ってその魂につけた名前ならば、「おくり名」は、家族が故人の生涯を讃えて、その魂に感謝の気持ちをつたえる名前となるでしょう。それは、敬慕の想いをこめて、肉体から離れた魂を再び神聖な世界へと送り返す鎮魂の祈りのように。

 

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きょうの「ブレイクタイム」

平成29年4月26日(水)

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 ブリューゲルの「バベルの塔」と大友さんの「バベルの塔」楽しみですね。それにしても、人間の傲慢さを神が戒め、罰を与えた象徴とされる「バベルの塔」、それをいつの時代にも魅かれるのは、罪人としての自虐愛か、マゾヒストの側面を持つ人間のサガなのでしょうかね?。

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