◉本名は、ご両親が幸福を願ってつけた
「この世の名前」
◉戒名は、僧侶が成仏を祈ってつける
「あの世の名前」
◉贈り名は、ご家族が生涯を讃えてつける
「感謝の名前」
葬儀のあり方として、古くて新しい「おくり名(贈り名)」をご提案しています。日本では初めての試みです。
おくり名は、故人の旅立ちにあたり、ご遺族が故人の足跡を偲び、その人生を讃えてつける敬慕の名前です。
「諡(おくりな)」の風習は、日本古来からあり、「聖徳太子」のお名前も亡くなられた後にその功徳を讃えて追号された「諡(おくりな)」です。生前は「厩戸皇子」などと呼ばれていました。
「おくり名」は、故人の生涯を讃える精神を受け継ぐものです。そして、「おくり名」は、故人の尊厳とむき合い、人生の尊さ、命の尊さを共有し、次世代に語り継ぐことを目的としています。
また、家族が旅立つ故人に感謝の気持ちをこめて贈る意味から「贈り名」の文字を選択しました。
すでにいくつかのご家族が、葬儀において「おくり名」を故人へプレゼントされました。本編では、掲載のご了承をいただいた2つの贈り名「飛翔慈母」と「富岳昇龍写人」をご紹介しています。この他にも心あたたまる「おくり名」が生まれています。そのたびに日本人の漢字や言葉にたいする想いや知性の高さを感じることができました。
漢字はアルファベットなどの表音文字とちがい、一字だけでも意味や特定の単語を表すので表意文字、あるいは表語文字とも呼ばれています。また、日本にもともと存在した「大和言葉」と結びつき、漢字圏では独特の訓読みが発達し、豊かで繊細な表現力がそなわりました。
こんな素晴らしい日本人の文化で、旅立ちを彩ることができるのなら、これ以上素敵な供養はないと思います。
あなたの大切な人を送る葬儀のときに、ご家族と話し合われて「おくり名」をプレゼントしてあげてみませんか。
戒名をお坊さんに依頼し、併せて「おくり名」をつけられたご家族もいます。その「おくり名」には、戒名にはない故人の生き様が印され、故人の人生が偲ばれました。故人の人生と共に歩まれたご家族だからこそ、「おくり名」の深さと重さを表現できるのでしょう。
拙い文章ではありますが、どうぞ「おくり名」の素晴らしさを行間よりおくみとり下さい。