■教祖 モーゼ
■成立 紀元前477(紀元前1300年の説も/出エジプト)
■聖地 エルサレム
■聖典 「法律(モーゼ五書)」「預言者」「諸事」
「タルムード(口伝法律書)」/いわゆる「旧約聖書」
ユダヤ教は「旧約聖書」し示されたユダヤ民俗だけを信徒とする「民俗宗教」です。このため、いわゆる「天国」も、自分たちの民俗のためだけの理想郷の実現を意味しているようです。その理想郷が「罪深き他国民が滅ぼされた楽園、エルサレム」です。一神教のヤハウェがユダヤ民俗に約束したのです。それを実現させてくれるのが、救世主「メシア」です。
ただし、「旧約聖書」の影響力は絶大です。というのも「旧約聖書」は、ユダヤ教、キリスト教、イスラム教の世界3大宗教共通の正典になっているため、アジア圏をのぞけば世界中にひろがっているからです。ユダヤ教の信者そのものは、世界で約2000万人弱といわれています。アメリカが約800万人、イスラエルが約500万人。
ちなみに「メシア」をギリシャ語にするとクリストス、つまりキリストになりますが、ユダヤ教にとってはイエス・キリストは「メシア」ではありません。イエスは、反抗的な異端分子でした。
また、「天国」とおなじように一般的な死後の世界としての「地獄」もユダヤ教にはありません。「天国」にたいする概念として「地獄」というなら、サタンの支配しているこの世界、あるいは他民族や異教徒が跋扈(ばっこ)して、理想のエルサレムの実現を妨害してる現状が「地獄」とうつるのかもしれません。
よって「死」または「死後」についての積極的な考えはありません。ユダヤ民俗の苦しみ、悩み、あるいは戦いが問題の中心です。
なお、サタン(悪魔)は神と肩をならべて対立しうる存在ではありません。「悪魔(サタン)」とは、神の使いである「天使(聖霊)」に対立する「悪の使者(悪霊/堕天使)」という存在です。神という「唯一絶対存在」のもとで「聖霊と悪霊との対立」という「善悪二元論」が一神教の筋書きです。
さて、神の「最後の審判」によって、先程のサタンの支配がおわる「終末」がきます。そして異教徒やほかの民俗がほろんだ楽園「エルサレム」が実現します。そのとき、多くの人はよみがえり、そこで裁きがあって、ある者は永遠の命を受け、ある者は恥と、かぎりなき恥辱(ちじょく)を受けます。いずれにしても死者は生前の姿で復活しますからイスラエルでは、埋葬はすべて土葬です。
(参考:死とはなにか/大法輪選書、旧約聖書を語る/NHKブックス、キリスト教がよくわかる本/PHP、世界の五大宗教入門/主婦と生活社)