家族葬のメリットとデメリット


 家族葬のメリット・デメリットをご理解されたうえで、「家族葬」をおこなうことをおすすめします。

家族葬で悩む男女3人

 葬儀には、三つの別れが含まれるといわれます。

 一つは、故人と家族とのわかれ。もう一つは、故人と社会的な関係者との別れ。そしてもう一つは、習俗や宗教上のこの世との別れです。

 普通のお葬式では、優先順位は、社会的な別れや宗教上の別れが優先され、家族や親族との別れは、後回しになりがちです。

 家族葬は、故人と家族との別れを優先させる葬儀です。そこに家族葬の特徴があります。

 「家族葬」は、イエ・ムラ共同体の束縛から逃れた都会型の葬儀として出発しました。共同体の「絆」は失われていきます。「家族葬」には、危うさも秘められています。気をつけないと大切な何かを失いつづけることにもなりかねません。

 ここでは、家族葬のメリット・デメリットを探りながら、失敗しない「家族葬」の処方箋をご提案します。

家族葬のメリット <その1> アットホームな葬儀

家族葬で柩のなかへお花を飾るご家族

 「家族葬」を遺言などで希望されるひとは「本当に自分のことを思っている家族と近しい人で送ってほしい」という願いが強いようです。

 あまりお付き合いのない弔問客にかこまれた形式的な葬儀を敬遠されているのでしょう。また、ご家族が、そんな形式的な葬儀に振り回されないように気遣っていらっしゃるのかもしれません。本当に心から偲んでくれる人に最期を看取ってほしいのだと思います。

 しめやかに故人様を偲び、ご遺族の悲しみによりそう心のこもったアットホームな葬儀が、「家族葬」のなによりのメリットです。

家族葬のメリット <その2> むだなお金を使わない

 「家族葬」は、とくに通夜のときにその特色があらわれます。

 ほんらい、通夜と葬儀は、遺族と親族だけで故人を偲び、一般弔問客は翌日の「告別式」でお別れするのが通例でした。それが「告別式」の意味でした。

 しかし、首都圏を中心に戦後の高度成長のころから、職場のしがらみもあって「故人のことはあまり知らないが、おつきあいだから」と義理で参列されることが増えてきました。

 すると、わざわざ休みをとって昼間の告別式にかけつけるのは大変だということで、通夜に会葬することが多くなりました。

家族葬と一般葬儀の違い 「通夜が告別式に」

 「家族葬」の通夜は、ご遺族と故人のたいせつなお別れの時間です。

「家族葬」で寿司の写真

 しかし一般の葬儀では、通夜が「告別式」化して、故人との最後の夜のひとときを、一般会葬者とのお別れの時間になってしまいました。

 そして、夕食もとらずに会葬されるので申し訳ないと「お清め」と称して飲食をふるまうようになりました。

 本来ならば、葬儀で殺生はよくありませんから、通夜の料理は、お魚やお肉をさけた野菜の煮物、揚げ物などが中心でした。しかし、一般の会葬者のひとは身内ではないからと、お寿司やオードブルなどがふるまわれるようになりました。寿司は巻物から、並寿司に移り、上寿司になり、特上寿司へとレベルは徐々に上がっていきました。会葬はありがたいのですが、通夜が告別式化したばかりに出費はかさなるばかりです。

口を出すなら、金を出せと思いつつ。

 家族葬とは違い一般の葬儀では、ご遺族は故人を偲んでい場合ではありません。

威張る親父の絵

 恥をかいては行けないと弔問客の接待にも気を使わなくてはなりません。ときには親戚のおじさんからは、祭壇がさみしいとか、料理が足りないとか、お返しの品が貧弱だとか小言を言われ、「故人に恥をかかせるんじゃない」と怒られるしまつです。「口を出すなら、金を出せ」と心の奥で唱えているうちに葬儀はあっという間に終わってしまいます。

家族葬の自由 「思い出の料理で最後の晩餐」

 家族葬が求めるもとめるものと違う消費の興奮が、昭和の時代にありました。

家族葬で最後の晩餐にふさわしい、故人の好きな料理を取り寄せるご遺族。

 まさに高度成長の昭和の時代は、「義理」と「見栄」が過剰反応する熱に浮かされたような時代でした。ずいぶんと散財したのではないでしょうか。しかし、そんな地域や職場の共同体も崩壊し、いまは次の時代への移行期にあたります。

 家族でよく通った思い出のレストランの料理を通夜の席に取りよせた「家族葬」がありました。家族だけの「家族葬」でしたから、それも可能です。料理の香りたかい湯煙りが、父を思う娘さんたちの気持ちを代弁するするかのように式場を温かな空間に変えていました。

 「家族葬」の通夜は、故人との最後の晩餐をこころ温まるものにしてくれます。

 ただし、斎場で「家族葬」をする場合は、斎場の制約がありますので、事前にご相談ください。

家族葬のメリット <その3> 形式に振り回されない

 「家族葬」では、仏式葬儀から無宗教の葬儀まで幅広くおこなわれます。また、仏式だから必ずお坊さんをお呼びするとは限りません。無宗教だからといって、お焼香をしないわけではありません。

 家族葬ネットの「家族葬」では、故人様やご遺族の考えにそって一番ふさわしい形を選ぶことができます。また、それが「家族葬」のメリットです。

家族葬で仏式葬儀 「ブッティスト? しきたリスト?」

 家族葬でも、お坊さんをおよびする仏式の葬儀が多いのですが、どうして、お坊さんに葬儀をいらいするのでしょう?

家族葬で悩む男性

 そんな質問に葬儀屋さんは、間髪入れず「しきたりですから」と即答します。この威圧感のあるフレーズに質問には何も答えてないのに妙に納得させられてしまいます。

 仮にキリスト教の信者さんに「どうして神父(牧師)さんに葬儀を依頼するのですか」と質問しますと十中八九「クリスチャンだから」と答えるでしょう。信者ならあたり前ですが、日本人は仏式葬儀をする理由に「ブッティスト(仏教徒)ですから」とは答えません。

 多くの日本人は仏教徒ではなくて「しきたり」を信仰する「しきたリスト?」ではないかと思えて来ます。

家族葬の知恵 「しきたりは、変わる」

しきたりの写真

 ただ、その「しきたり」は、時代とともに変わり、新たな「しきたり」が生みだされていきます。火葬の後にお骨を骨壺に納めるとき、竹箸で一つのお骨を隣同士、あるいは向かい合わせの二人で骨壺に納めます。これも火葬が普及してきた戦後からの習わしで、真新しい「しきたり」です。おそらくどこかの火葬場の火夫さんが考案されたのでしょう。それが、なんとなく哀愁をおびているので収骨の際の「しきたり」として普及したのかもしれません。
 この作法を「箸と箸で天国へ送る『橋渡し』」と解説しているものがありますが、ただの語呂合わせです。しかし、ただの語呂合わせも言霊思想のお国柄でしょうか、「なるほど」とありがたがる向きもあります。

家族葬が創る 「故人を全員でかこむ」

家族葬のサラウンド花祭壇、全員が柩を囲んで故人を偲びます。

 家族葬ネットでは、これまで様々な「家族葬」のご提案をし、ご遺族の気持ちに寄りそう「家族葬」をお届けしてきました。

 同じ仏式葬儀でも、お坊さんが祭壇に向かって読経するのではなく、お坊さんとご遺族、ご親戚のみなさんも全員が、故人の柩を囲んで読経するサラウンド「家族葬」もそうです。

 「家族葬」の自由は、これからの時代に求められています。それぞれのご家族には、それぞれの思いがあり、それぞれの歩みがあるはずです。「しきたり」に振り回せるのではなく、それぞれのご家庭、ご家族にふさわしい葬儀があっても良いのではないかと考えます。

 そのかわり、どような「家族葬」をしたいのか、我が家にふさわしい「家族葬」をご家族のみなさんで話し合われることが大切になります。

 家族葬ネットは、ご家族の思いを実現させるためにご協力したいと願っています。

家族葬のデメリット 「希薄な社会的との別れ」

 「家族葬」のデメリットは、社会的な別れがおろそかになることです。

家族葬か葬儀か悩む青年

 故人は家族のものだけではありません。人間は社会的な生き物ですから、友人、知人など多くの人と、互いに助け助けられて生活をしています。葬儀は、そんな友人、知人にこの世を去るにあたり、受けたご恩に対してご遺族が故人になりかわり、お礼をいう場でもあります。そして友人、知人は故人との別れを惜しみ、ご冥福をお祈りする場でもあります。

 「家族葬」は、一般会葬者はもとより、友人、知人への連絡も欠くケースが増えてきます。社会的な別れが希薄になることが、「家族葬」の欠点です。

 社会生活では、人間関係は財産の一つです。人間関係は一日で成らず、されど一日で崩れるものです。

家族葬の背景 「高齢化社会」

ベンチに座る老婦人

 しかし、最近では寿命ものび、死亡年齢が高齢になっています。現役をさり、退職後何十年もたてば、同僚とのつきあいも途絶え、親戚も高齢化して先立つひともでてくることでしょう。また、近所のおつきあいも、あいさつ程度になっているのが現状です。そのような希薄な人間関係が、「家族葬」の時代を演出しているのかもしれません。

 ただ、現役サラリーマンが亡くなられた場合やご商売をされているご家庭では、社会的な別れが優先されます。しかし、そのような場合でも「家族葬で送ってほしい」という遺言を遺される方もいらっしゃます。ご遺族は迷います。故人の遺言を優先するのか、それとも社会的な別れを優先するのか。

 以下、具体的な事例を取りあげ、「家族葬」のデメリットを克服する対策をご提案します。

家族葬のデメリットを克服する  <手紙を送る>

家族葬の理由とお礼を手紙にしたためる。

 あるご商売をされているご家族の奥さまが亡くなられました。ご商売の関係では、社会的な別れが優先されます。しかし、奥さまの遺言は、「家族葬」でした。ご主人は一般の葬儀を考えましたが、奥さまの看病をされていた娘さんは「家族葬」を主張されました。

 そこで、ご家族といっしょに話し合い、葬儀は「家族葬」で行い、顧客や関係者には、後日、「家族葬」になった理由や「家族葬」のようすを写真入りのお手紙にして送ることにしました。

 ご主人と娘さんのお礼のことばと「家族葬」の様子をまとめた礼状(8ページの冊子)を、「家族葬」のあとに友人・知人・関係者に送付されました。心温まる内容に「本当に良かったね」という電話が何本もはいったそうです。

 くわしい内容は、家族葬の風「遺骨はセーヌ川へ」をご覧ください。

家族葬のデメリットを克服する  <偲ぶ会などを開く>

 家族葬をご家族に遺言されていたのですが、まだ退職されほどの年齢ではなく、現職なので亡くなったことを知れば、大勢の弔問客が訪れるケースの場合があります。

 あるご主人の遺言は、主に以下の三点でした。

  1)葬儀は、家族と身内だけであげるように。

  2)職場には死亡の報告は一切せず、葬儀が終わってから知らせるように。

  3)最後はアメージンググレイスで送ってほしい。

「家族葬」で偲ぶ会の写真

 ところが、ご遺体をご自宅に安置したその夜に、職場の仲間がふとご自宅に寄られたのです。ご主人の遺言を説明し、ご理解をいただきました。職場のみなさんには「家族葬」のあとにご主人が用意されていた手紙をコビーした礼状をおくり、四十九日法要のときにホームパーティーを開いてお呼びしました。

 くわしくは、家族葬の風「遺言を守って、迷って」をご覧ください。

 葬儀は「家族葬」で、一般会葬者には後日、会費制の「偲ぶ会」や「お別れ会」などを開いて、社会的な別れに対応することもできます。

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